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Date - 2024.01.21

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人の成長線は、曲線ではなくスパイラル。インテグラル理論から考える人の成長。

自分の成長だけを考えていた20代、
他人を育てる役割を担うこととなった三十路、
そして、育成ポジション、マネジメントポジションから離れ、
再度個人の成長を追求する職場に戻り、周りの同僚を見ていて改めて思ったこと。

 

それは、人としての成長は、曲線で上がって行くのではなく、
渦のようにスパイラルで、円を描きつつ、徐々に大きく高くなっていくものである。

 

同じことをして、違うことを感じることが出来るようになって、
初めて成長を感じることが出来るのではないだろうか。

同じようなことをして、同じような景色を見て、違うことを感じる。
それは、ステージが変わろうとしているか、ステージを変えるべき時が来たということ。
価値観が変わって来たという意味で、違うことを感じている場合もあるので、
必ずしも、違うことを感じる=成長している、とはならないかもしれないが、
以前と変わって来ていることは確かだろう。

 

その多くの場合、人として成長している、と言えるのではないかと僕は思う。

21世紀を代表する思想家といえるケン・ウィルバー氏の提唱するインテグラル理論は、人の成長段階をとてもよく表していると僕は思っている。

 


インテグラル理論 多様で複雑な世界を読み解く新次元の成長モデル

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インテグラル理論にて述べられているのは、
人の成長には8段階あり、それをさらに大別すると二層に分けられる。

この人とは話が合わないなという場合、大抵の場合は、それぞれが属する成長段階が大きくズレていることに起因しているのだろう。
バカと話し合いをするには、こちらのIQを下げないと話にならないというのは、割と的を得ていると僕は思っていて、このIQを下げるというのが、成長段階の下段階の思考回路で話をすることなんだろうと思う。

 

自分より上の成長段階の考えがいきなり出来るようにはならないので、
成長段階が違う人同士が話をする場合、どちらか一方が思考レベルを下げている。
そして、成長段階の差があればあるほど、思考レベルが上の人は疲れるのだろう。
結果として、同じ段階の人たちでつるむことが多くなる。
話していて楽だから。

 

インターネットの功績は、自分と同じような人と出会い易くなったことと言えるが、
インターネットの罪は、同じような人々でつるむことで成長を促す機会を奪いやすくなったことと言える

中二病は誰しもが成長段階で少なからず通る道だと思うが、
それを経て皆人として成長していく。

 

しかしながら、そこから抜け出すことが出来ない人々が一定数いるのが事実であり、
そういった人を食い物にしているのが陰謀論ビジネスをしている人たちであると言える。

話が少しそれてしまったので本題に戻そう。

 

 

そう、成長の話だった。

インテグラル理論では、成長の段階を以下のように分けている。


第一層
1.古代的 生存の感覚 本能と生まれもった感覚を研ぎ澄ます
2.呪術的 血族の精神 神秘に包まれた世界の中で調和と安全を求める
3.呪術‐神話的 力のある神々 衝動を表現する、自由になる、強い存在になる
4.神話的 心理の力 目的を見つけ出す、秩序を生み出す、未来を確実なものにする
5.合理的 努力への意欲 分析し、戦略を立て、繁栄する
6.多元的 人間らしい絆 内なる自己を探求する、他者を平等に扱う


第二層
7.統合的 しなやかな流れ 複数のシステムを統合し調整する
8.全体的 全体の眺め シナジーを起こす、巨視的な視野からマネジメントする

 

第一段階から第三段階は、自己中心的で、
第四段階から第五段階は、次集団中心的
第六段階から第八段階は、世界中心的

 

第一層と第二層の差は大きい。
世界は今、どんどん個人主義の勢力が強まっているように思う。
それは、人口比で言うと、世界中心的な人よりも次集団中心的な人が多く、自己中心的な人がその次に多く、そういった人たちがSNSで発信し繋がり合い、自分たちの正当性を錯覚しているからなのだろう。

自分の人生を振り返ってみると、それぞれの段階を間違いなく経験してきているなと該当するエピソードを思い起こすことが出来る。
未だ最終段階に至れていない私がすべてを語ることは出来ないが、
各成長段階に照らし合わせてSNS上での人々の発信を見ると、それぞれがどの成長段階で話をしているのかが見えて来る。

 

基本的に自分の理解の範疇にない話は、自分より上の段階を経験してきた人の話で、
理解はできるけど、それは悪手やろと思う話は、自分がこれまで通過して来た下の成長段階で止まっている人の話だと認識するのが良いだろう。

時に、自己中心的過ぎて理解がまったく及ばない話をする人もいるにはいるが…

 

ケン・ウィルバー氏が提唱するように、
人の成長とは、曲線のように成長するものでも、階段を登る様にステップアップしていくものでもなく、螺旋を描くようにスパイラル上に上へ横へと円を大きくして成長していくものだと僕は思う。

初期の段階では、円が小さく自分のことしか考えることが出来ないが、
成長を経て円が大きくなるにつれ、集団のことを、そして世界のことを考えることが出来るようになる。

そして、スパイラルを描き、1週周ることで同じ経験をした時に違うことを感じるようになる。
0度から見た景色と360度から見た景色は違う、という経験をしたことがある人はなんとなくこの話が分かるだろうと思う。

 

同じ場所で同じ経験をしたのに、違うことを感じる。
それが成長なのだろう。

 

このインテグラル理論を通して人々の成長段階を見極めることが出来れば、
指導者として人々を導きやすくなるのではないかと僕は考えている。

 

各成長段階において、響く言葉は変わって来るだろうし、
次の段階に導くために必要な経験は変わって来る。

そして大切なことは、それぞれの成長段階を経て成長していくこと。
第三段階から第六段階にいきなり飛ぶことは出来ないし、
それをさせようとしても上手く行かずに終わる。

 

名プレーヤーが必ずしも名監督になれないのは、
自身が現在いる成長段階の基準をプレーヤーに求めてしまうからなんだろうと思う。


選手はそれぞれ違った成長段階に居る。
それに対して全員同じような指導をしていては上手く行かない。
個人に適した指導が必要であり、そのチームの最低限の成長レベルに達していない選手については、容赦なく切り捨てる必要もあるだろう。
プロスポーツチームなのであれば、時には、そういった非情な判断も必要である。

 

名監督、名コーチと呼ばれる人は、各選手の成長段階を見極める能力が高く、
選手を導いていける人なんだろうと思う。

今、そして、今後、誰かを導いていくポジションに居る人は、インテグラル理論をぜひ参考にして頂くと良いだろう。

 

 

また、客観的に自分のことを見れる人であれば、
自身がどの段階にいるのであろうかを照らし合わせ、
次の段階へとステップアップするのにどんなことが必要なのかを見てみると良いだろう。

自己完結で成長していきたい人は、
インテグラル理論をはじめとしたケン・ウィルバー氏の著書を読み実践することをお勧めしたい。

 


インテグラル理論 多様で複雑な世界を読み解く新次元の成長モデル

 

こちら↓もおすすめ。


インテグラル心理学 ―心の複雑さと可能性を読み解く意識発達モデル

 

 

指導者に求められることは、自身が成長し続けることと、
指導する人々を導く能力。
それを養うためには、そもそも人の成長線がどういったものであり、
どういった成長段階があるのかを把握することが重要だ。

 

スパイラルでの成長を自他ともに体感するには、定期的に同じワークショップを行い、
違った視点でそれを捉えることが出来るのかを確認できると良い。
仕事において部下の成長を促すのであれば、
同じような仕事を定期的にさせて成長度合いを見極めるのが良いだろう。

 

成長段階が下の段階にいる人には、上の段階の思考は理解が出来ない。
それを上の段階の人が導いてあげることで成長を促すことが出来る。
成長して同じ思考に至るまでは、なかなか理解が得られないものではあるが、
ひとたび成長すれば、指導者に対する感謝の念が尽きることはないだろう。

 

一人で成長していける人も世の中にはいるが、
そうでない人はとても多い。
すべての人が死ぬまでに成長段階の第二層へと至ることは難しいだろう。
それでも世界を良くしていくためには、第二層に至った人たちが第一層の人たちを導けるような環境づくりが大切であり、それを邪魔されない仕組みが重要なのだと思う。

 

SNSで攻撃を受けているのは大体が成長段階が上の人。
そして、攻撃をしているのは成長段階が下の人である事実を見ていると、
上の人たちが辟易して自分の周りの人たちとの関わり合いだけでもう良いやと世界を良くすることを諦めてしまわないかが少し心配だ。

 

それがインターネットの功績と罪なのだろう。
僕らにできることは、自身の成長を促し続けることと、
指導する立場に立った時に、適切な成長を促すことが出来るように人々に対する理解を深めること。

 

人の上に立つ人が皆、成長段階の高い人であったのなら良いのだけれど、
資本主義という社会の仕組みがそれを難しくさせているのかもしれない。
しかしながら、今も昔も上手く行っている企業、組織を見ると、
しっかりとした成長を促す組織作りが出来ていると言える。

世界を良くしていきたいと思う人は、今の世の中にも多くいると思うし、そうであると信じたい。
そんな僕らに出来ることは、自身が成長し続けることと、
周りの成長を促し続けることだと言える。
そして、必要があれば、成長段階が下の人の的外れな意見は無視することも大切だろう。

 

ネット上での誹謗中傷が取り締まられるようになったことは良い変化だと言える。
困難なこともあるだろうが、個人主義に走らず、世界中心的に考え、行動できる人が増えて行ったら良いなと僕は思っている。

まだまだ誰かの師になるには至らない。
そんな僕に出来ることは成長し続けること。

 

 

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僕らは考え続けることでしか、未来予想図を想い描くことは出来ない。

 

 


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