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Date - 2018.05.29

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鍼灸バブルの到来は訪れるのか?

はじめに

鍼灸が中国から日本に伝来して約1400年。
日本鍼灸が盛んだった時代は終わりを迎え、現代は西洋医学最盛期を迎えている。

今後、東洋医学が、鍼灸が復権を迎える時代は来るのか?
鍼灸バブルは訪れるのかについて自分なりの考察をまとめて行きます。

まあ、結論を先に言うと、鍼灸の復権は、昔のような形でというならば訪れないだろうと断言出来ます。
しかし、東洋医学が西洋医学と肩を並べ、
統合医療として復権を果たす可能性は大いにあると僕は考えています。

では、今回の記事のタイトルにある、
鍼灸バブルの到来は訪れるのでしょうか?

未来は誰にもわからないと言ってしまえばそれで終わってしまう話ですが、
バブルとは何かという点から鍼灸バブルの可能性について考えてみようと思います。

 

鍼灸バブル

“バブル” ー あぶくに似て実質の無い状況 =泡

Google先生に聞いたらこのような答えが返ってきました。

バブルとは実質の無い状況です。

 

日本での鍼灸業界の現状を考えると鍼灸師は何か行動を起こしていかないと日本での医療としての鍼灸が立ち行かなくなってしまうのではないかと僕は考えています。

最近はテレビでも取り上げられ、美容鍼灸が盛り上がりを見せています。
それは喜ぶべきことであり、鍼灸が注目されることは大いに歓迎するべきことでしょう。

しかし、僕はぬぐいきれない一抹の不安を感じています。

美容鍼灸とは鍼灸の実質と言えるものであるのかと。

 

 

批判を恐れずに言うなら、美容鍼灸とは、美容であって医療ではありません。
本来、医療として発展してきた鍼灸の本質の部分では無いと言えます。

もし、このまま美容鍼灸のみが盛り上がりを見せ、
多くの鍼灸師が美容鍼灸のみを学び、
美容鍼灸のみをやっていくのであれば、
間違いなく鍼灸バブルの到来はやってきます。

つまり、そのバブルが弾ける時が来ると言うことです。
個人的には高い可能性でそれが起こると思っています。
その時、医療としての鍼灸が終わりを迎える可能性があります。

医療としての鍼灸が終われば、保険治療が出来なくなるのはもちろん、
国家資格としての地位すら失う可能性もあります。
これは最悪の事態に近い可能性ではありますが、
日本の鍼灸の組織団体が打つ手を間違えれば起こる可能性もあると思います。

 

最善の手を打つにはまず最悪の可能性を考えるのが良いと思いますので、
まずは最悪に近い可能性を考えてみましたが、
ここで焦って行動してはいけません。

最悪な可能性に陥るであろう理由を挙げ、
それを潰していく方法をしっかり考え、
その中から1番効率的なアイデアを考えた上で、
それに一見手間が余計にかかるような面白そうなアイデアを足すと
最善の手に行き着きます。

効率的なアイデアだけではダメというのがポイントです。

なぜなら、人間は感情で動くからです。

 

 

ここで質問です

Q. 最悪の事態が起こりうる1番の理由はなんでしょう?

A. 鍼灸の盛り上がりに実質が伴わないこと。

 

 

つまり、鍼灸の盛り上がりに実質が伴いさえすればバブルが弾けることは無くなります。

おそらく、美容鍼灸を最初の頃に始めた多くの鍼灸師は、
実質を伴った上で美容鍼灸を行なっていると思います。

 

 

問題は、美容鍼灸が流行っているからと言って後追いで始める鍼灸師と
鍼灸の基礎を学ばずに美容鍼灸業界に入ってくる鍼灸学生さん達です。

鍼灸の本質を捉えている鍼治療であれば、
たとえ美容鍼灸でも顔以外への施術も行うと思います。

外面、皮膚とは、内面、内臓の状態に大きな影響を受けます。
どれだけ皮膚表面の状態へアプローチをしても体内の状態が悪ければ効果は長続きしません。
すぐに元の状態に戻ってしまうでしょう。

 

実質の無い治療しか出来ない鍼灸師が増えれば増えるほど、鍼灸の評価が下がって行きます。
すでに学校がたくさん出来てしまった為、
学生の質が下がっている、鍼灸師の質が下がっていると言われています。

 

30年前は、倍率50倍を超えていた鍼灸学校の倍率は1倍を切り、
定員割れを起こしている学校がたくさんあります。

母校でも鍼灸の勉強がどうこうではなく、
そもそもふつうの高校生レベルの計算が出来ない生徒が入学して来ています。

そんな学生がどんどん増えて行って鍼灸師の質は保てるのでしょうか?
まあ、すでに質はかなり低下してしまっているようですが。

僕は今、日本鍼灸業界は大きな帰路に立たされる一歩手前まで来ていると思います。

 

 

日本鍼灸が辿りうる道

1つの道は、無資格者に紛れて医療としての鍼灸師の立場を捨て、
お金を儲けれる可能性を最大限に作り、
リラクゼーション業界に分け入って行く道
です。

この道を歓迎する鍼灸師も一定数いるのではないかと僕は考えています。

 

もう1つは、鍼灸業界・鍼灸団体をまとめ、
組織と教育と制度を根本から変えて、
医療としての鍼灸の立場を引きあげる道
です。

海外では鍼灸師がドクターとしてのポジションを得ている国があります。
日本鍼灸もその位置まで鍼灸師の価値をあげるのです。

この道は相当な苦労と反発を受けるでしょう。

 

なぜなら、今資格を持っている鍼灸師全員が医師と肩を並べれるだけの知識と技術を持っていないからです。
つまり、切り捨てなければならない人たちが出てくるということです。
それも少なくない数になるでしょう。

 

鍼灸師として活動していない免許だけ持った鍼灸師もたくさんいることですし、
切り捨てる方法でも良いのかもしれません。

「切り捨てられた人たちはリラクゼーション業界で頑張ってね」と。
身を切れば国民や医師会も納得してくれるかもしれませんし。

 

どちらの道を辿っても日本に住む大部分の鍼灸師にとってイバラの道となるでしょう。

現状を変えようとする鍼灸師が立ち上がらなければ、
早かれ遅かれその決断を迫られる日が来るのではないかと思います。

 

むしろ、自ら決断することすらさせてもらえず1つめの道を辿るのがオチでしょう。

これでいいんですかね?日本に住む鍼灸師のみなさん。

こんな環境では有望な若手鍼灸師はどんどん海外へと逃げて行ってしまいますよ。
すでにそういう鍼灸師が出て来ていますし。

 

第3の道

そこで、僕は第3の道を提案したいと思います。

それは1と2の良いとこ取りをする道です。

簡単に言うと、鍼灸師の上に資格を作ることです。
鍼灸医師とでも呼びましょう。

 

鍼灸師の資格を取った人が一定の経験を積んだ後、
大学院で学び試験を受けることで鍼灸医師という資格を得れるようにすることです。

鍼灸医師は、医師という名前が付いているように西洋医学の医師と同じように診断が出来、
漢方の処方が出来、保険の申請を出せるような資格を僕は想定しています。

内科医に近い形です。
この資格も含め鍼灸免許の更新制度と研修制度を設け、
鍼灸師の知識レベルを保ち、より知識と経験と情熱を持つ鍼灸師が上を目指せる環境を作ります。

 

鍼灸師と鍼灸医師の間で待遇の格差が出来ますが、
医師として医療を行う以上それは必然になるかと思います。

しかし、

同時に鍼灸師という職業を残し、
美容鍼灸など、医療ではない鍼灸治療の可能性を残し、お金を稼げる可能性も残します。

 

医療として保険が使えれば患者は必然的に鍼灸医師に流れるでしょうが、
それは仕方ないことでしょう。

ある程度鍼灸師の数が減ることになるかもしれませんが、
先程あげた1や2の道を回避することは出来ます。

また、この改革を鍼灸師だけではなく、他業種も巻き込んで日本医療の仕組み自体を変えることが出来れば
疾患ごとに認められていた鍼灸治療への保険適用を治療自体への保険適応に変えられる可能性も出て来るでしょう。

さらに加えて言えばその出来上がった制度が成功すればその制度を海外へ輸出し、
世界の医療の仕組みを変えて行く可能性も出て来るでしょう。

そうなれば日本の鍼灸医師の資格を持っていればテストを受けるだけで海外の鍼灸免許に書き換えができるような互換制度を作る可能性も開いて来るでしょう。

より活発に日本鍼灸を海外へと広めて行くことが出来ます。

 

 

おわりに

この第3の道には問題点もあるだろうし、
超えなければいけない制度や法律の壁もあることでしょう。

僕が考えている方法がそのまま実現するとは思っていませんが、
このような考えを日本の鍼灸師はもっと話し合っていかないといけない時期が差し迫っているのではないでしょうか?

目の前の患者さんが良くなれば良いという鍼灸師が日本にはたくさんいることでしょう。

 

でも、
そろそろ自分が属する業界のことをしっかりと考えて行きませんか?

 

これから鍼灸師になる学生のことを。
さらにその下の世代のことを考えて行きませんか?

鍼灸バブルすら訪れずに鍼灸が廃れるのか、
鍼灸バブルを迎えて弾けるのかわかりませんが、
間違いなく鍼灸師が行動を起こさなければならない時代に突入しています

 

なぜそれを言い切ることが出来るかと言うと、
AIが発達し、治療機械が鍼灸師に変わって鍼灸治療と同じかそれ以上の効果を出す時代がいずれ訪れるからです。

今の形のままの鍼灸、ただ治療をするだけの鍼灸治療では必ず機械にとって代わられます。
僕が将来研究をして作ろうと思っている機械がそういう機械です。

すでにアイデアが出来上がっており、何をすれば創り上げることが出来るかの大まかなプランすら出来つつあります。
理論をしっかり組み立てて研究する場所と資金を得ることが出来ればそう遠くない未来に作ることが出来るかもしれません。

こういう考えをしているのはきっと僕だけではありません。
そんな未来がもし訪れたら太刀打ち出来ませんよ。

 

では、一体どうしますか?

鍼灸師やめますか?

 

それも良いでしょう。

しかし、本当に鍼灸を好きでやっているなら業界のことを考えて行動を起こしてください。

 

行動を起こしている鍼灸師たちがすでにいます。

もし、多くの日本人鍼灸師が立ち上がって業界を変えることが出来れば日本鍼灸は大きな可能性を秘めていると言えます。

今世紀中に統合医療が完成する日が訪れるかもしれません。

 

大っきな未来を描きましょう。

これから起こりうるであろうピンチをチャンスに変える為。

 

もう一度問います。

“鍼灸バブル”の到来は訪れるのか?

この質問の本質を良く考えてみてください。

 

MITS

 

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