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Date - 2018.07.06

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これから“鍼灸”、”治療家“、そして、“リラクゼーション業界”はどうなっていくのか

鍼灸師という職業をご存知でしょうか。
ちまたには治療院があふれかえっています。

街を歩けば、鍼灸院、マッサージ院、接骨院、整骨院、カイロプラクティック、整体院、さらにリラクゼーションのもみほぐしやDr.ストレッチというストレッチ専門店なんかも出て来てますね。

 

ちなみに、知ってました?
Dr.ストレッチの親会社って中古車両販売の会社なんですって。
医療なんてまったく関係ない業種の会社です。
うまいとこ目を付けたなって感じです。

 

さまざまな選択肢があることは国民にとっては良いことでしょう。
しかし、それらの違いをしっかりと分かっている人は少ないと思います。
そこで今日は、これらのお店にどんな違いがあるのか、
そして、僕の職業である鍼灸について、他とどんな違いがあるのかまとめて行きます。

 

 

国家資格と無資格


まず、知って頂きたいのが、人の身体はとても複雑な構造をしています。

身体のことを何も知らないシロウトが触れば壊れることもあります。
最近は無資格者のマッサージを受けて骨折したなどの報告が増えています。


リフレッシュの為に、疲れているから気持ちよくなりたいということであれば、

無資格者のお店に行くのでも良いでしょう。

しかし、
もしあなたが、痛みを抱えている、怪我をした、慢性疾患をかかえているのであれば、国家資格保持者のお店に行くのが良いかと思います。


僕も体験として無資格者が行う足つぼだったり、リラクゼーションのお店に行ったことがあります。リフレッシュしたいときにはありかと思います。

しかし、国家資格者のマッサージを受けている身からすると施術後のスッキリ具合は全然違います。

 

僕が今働いている豪華客船のスパでもマッサージを受けることが出来ますが、ほとんど無資格者(国家資格ではないと言う意味で。会社で行うマッサージの研修は受けています。)、しかもスパマッサージ経験があまりない人もいる為、お願いすればいつでも無料でマッサージを受けることが出来るけど僕は契約の7ヶ月の間にあっても2-3回しか受けません。

理由は、マッサージを受けている時にどうしても欠点が気になってしまって100%リラックスは出来ないし、下手なマッサージを受けるとあとで調子が悪くなるからです。そんなこともあって、僕は基本的に無資格者の施術を受けないようにしています。

 

日本の国家資格の医療資格には、

医師、歯科医師、鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、看護師、薬剤師、衛生管理者、救急救命士、歯科衛生士、診療放射線技師、助産師、保健師、理学療法士、臨床検査技師、臨床工学技士、獣医師、歯科技工士、介護福祉士、社会福祉士、義肢装具士、言語聴覚士、作業療法士

があります。

 

この中で、医療行為としてマッサージが出来るのは、
医師、あん摩マッサージ指圧師。
鍼灸治療が出来るのは、医師と鍼師&灸師。
脱臼の整復が出来るのは、医師と柔道整復師のみです。

 

ちまたにあるお店の名前にも法則がありまして、
医療資格を持っているかどうか見極めることが出来ます。

”◯◯鍼灸院“、”◯◯治療院“は、名前のとおり鍼灸師が経営してます。
“◯◯堂”は、だいたい鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師、ひと昔前は、医師で個人開業している方も使っていました。無資格者の方でも使っている人がいますね(名称独占ではないので)
“◯◯接骨院”、“◯◯整骨院”は、柔道整復師の方が使用できる店名です。

それに対して、

“◯◯整体院”、“◯◯リラクゼーション”、“ても◯ん”、”もみほぐし“などは、
無資格者のお店です。

 

確かに整体院の無資格者の中にも腕の良い人はいますし、
開業権のない理学療法士の中に整体院をやっている人がいるという話も聞きます。
しっかりと勉強している人も居るでしょう。

しかし、数年学校に通い、国家試験を受けて合格した立場からすると
無資格者が治療をうたうのに快く思わない人が多いです。
腕があるなしに関わらず、そこはマナーというか最低限必要なものとして、
医療として治療をしたいのであれば資格を取るのがスジでしょう。

 

なぜ無資格者がまかり通るのか


治療を受ける側からすれば、腕が良ければ、自分を治してくれる施術者であれば誰でも良いと思うかも知れません。

そう、思わせてしまっているのは、腕のない国家資格者がいるという事実
効果がなかったという現実があるからだと思います。


それは、国家資格である業界側の教育だったり、制度の問題、そして医療全体のしくみの問題もあるかと思います。

西洋医学の歴史はまだ約300年ほどしかありませんし、科学では解明しきれていないものの方が多いです。

ことに東洋医学においては、いまだ科学的・物理的に証明出来ないことが多く、効果の再現性に疑問があるのも事実で、施術者によって効果が大きく違い、信頼できる鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師のいる治療院を見つけにくい、また腕はあっても人間性に問題があって通いたくないなんてこともあるかもしれません。

そんな状況だった為、法律の抜け穴を使って、誰でも開業出来てしまう整体やリラクゼーションが出て来て、ビジネス上手な彼らがどんどん領域を広げ、
法律を熟知していない政治家がリラクゼーション業界を認めてしまった為、お店がどんどん増えて行きました。

今後もそんな状況がずっと続くのかと言うと、
おそらくそうはいきません。
きっと、リラクゼーション業界は(施術者目線で考えると)厳しい状況に追い込まれて行くと思います。(あくまで僕の予想ですが)

 

今後生き残っていく業界とは


まず間違いなく言えるのが、今まで病院で治せなかった慢性疾患がもっと病院の医師によって治せるようになるでしょう。

なぜなら、特に若い世代の医師が東洋医学を受け入れ始め、薬を出すだけではなく、食事指導や漢方の処方、鍼治療、運動指導などをどんどん取り入れているからです。

また、科学技術の発展により、東洋医学がどんどん解明されて来ています。
東洋医学を西洋医師がうまく扱えるようになれば難病と呼ばれる病気や慢性疾患を治せるようになるでしょう。

そこに鍼灸師が入っていける可能性も大いにあるので鍼灸業界は他職種に比べ未来が明るいです。

寿命が伸びている影響で、運動指導やリハビリ領域で理学療法士にも伸び代があるのですが、日本では理学療法士に開業権が無い為、彼らは制度を変えることが出来なければなかなかに難しい立場となるでしょう。
逆に言えば、日本の理学療法士がアメリカやヨーロッパのように開業権を得ることが出来れば、飛び抜ける可能性は大いにあります。

 

治療が出来る医療資格の中で厳しいのが、柔道整復師
不正請求が横行したため、今後保険治療をしていくのが難しい状況に陥っています。

今まで、治さなくても通ってくれる患者さんを囲めばなんとかなっていた接骨院はつぶれ、本当に腕のある柔道整復師しか生き残って行けません。
彼らが得意とするのは、捻挫・脱臼・骨折などの急性期です。
(そこが対応出来ないという信じられない柔道整復師もいるみたいですが)

ITが急速に発達している為、
おそらく今後は不慮の事故が減り、
先進国では、そもそも人が怪我をする機会が大きく減るでしょう。
そうなれば患者数が減ります。

今の日本の人口の減り具合から考えても柔道整復師にとっては厳しい時代が来るでしょう。

慢性疾患を相手にしようにもそこにはすでにたくさんの競合相手がいる為、
生き残っていくのは飛び抜けなければ難しいでしょう。

 

リラクゼーション業界は、エステや海外に多いスパという形で美容方面で生き残っていける可能性がありますが、ここに最近鍼灸師が入って行っているので、共存する形を提供する会社は問題ないかもしれませんが、単独でやる会社はシェアを喰われる可能性もあります。

もみほぐしなどのリラクゼーションは、おそらく氷河期が訪れるかと思います。
そもそもお店が増えすぎてるし、腕のある国家資格者がSNSで情報発信、メディアへ出てきているので国民が違いに気付き、経営する会社の方も国家資格者を雇う方へシフトして来ています。腕のある人が増えれば、そうでないシロウトが入り込める余地は減って行くでしょう。

さらに言えば、機械が人に置き換わって行くでしょう。

マッサージチェアーは、人のマッサージにはまだ遠く及ばないレベルですが、今後はそれが大きく変わるでしょう。
リラクゼーションレベルのマッサージなら、人間じゃなくても機械が出来るようになる日が必ず来ます。

 

そうなれば人件費と研修費のかかる人間を雇って育てて行くより、
機械を導入した方が効率が良くなるでしょう。
その時にリラクゼーション業界には、リラクゼーションのマッサージをする人が必要無くなります。

1番厳しい状況を迎えるであろう立場にいるのが、整体などの無資格で治療をうたう人たちだと思います。


国家資格の医療資格には広告の制限があります。

だからあまり大々的に告知が出来ないというジレンマがありました。
しかし、SNSが急速に発達し、ネット環境が大きく変わっているこれからは、
表に出ていなかった無資格者の悪い面が明るみに出て規制が入る可能性があります。

それに対し、国家資格者たちが立ち上がり、手を取りあい、制度改革を成し遂げた際には、無資格者では太刀打ちできない環境が出来上がる可能性があります。
(それをしてやろうと考える有資格者は少なくないと思います)

 

なかなかに仲が悪い業界が多いのでそれが5-10年以内に起こるとは思いませんが、しかしそれは少なくない可能性で起きると僕は思っています。むしろ、それをやりたいと僕は考えています。

なので、腕のある若い無資格者の方は、夜間で学校に通う形でもいいので国家資格を取っておいた方が良いと思います。もし、一生治療家という道を歩むのであれば。

私たちの学ぶ技術は芸術であり科学であり職業でもある


この言葉は、僕の母校の校訓です。

鍼灸について言っています。

そう、鍼灸とは、職業である上に芸術的な要素があり、科学的に説明が出来る治療法なのです。

 

東洋医学はまだ完全に解明しきれていませんが、それも時間の問題だと思います。

全ての鍼灸師や医師が同じように鍼灸治療で効果を出せるような時代がやってくるでしょう。

 

そうなった時、飽和状態である鍼灸師は逆に追い込まれるかもしれません。
何故なら医師が全部出来るようになってしまうから。
勉強量、知識量で言えば大体の医師の方が鍼灸師より上でしょう。
医師の方々は本当によく勉強されてます。

 

なので、今のままの教育レベル、教育内容では、鍼灸業界はダメなのです。
生き残れません。
僕が考えているのは、鍼灸師の上に資格を作ること。
アメリカでは、鍼灸師の上に東洋医学博士という資格があります。

日本も同じように、そしてアメリカの東洋医学博士より良い制度を作ることが、
日本の鍼灸師が日本や世界で活躍して行く道、生き残って行く道だと思います。

 

医療従事者以外に向けて噛み砕いて説明しますと

今の鍼灸師には腕の差が大きくあって、
信用できる治療院や鍼灸師を見つけるのが難しい状況でしたが、
今後それが変わります。

しんきゅうコンパス”“ケアくる”といった鍼灸師や鍼灸院をオンラインで探せるサービスも出てきました。

そして、教育を変えるべく動いている人や
誰もが同じ効果を出せる鍼治療の仕方を医師との共同研究で実証しようとしている方もいます。

それらが実現する日はそう遠くないでしょう。

 

近い将来、どこの鍼灸院に行っても同じ効果が出る、
そもそも病院で鍼灸治療を受けるのが当たり前な世の中が来る可能性すらあります。

今まではおとぎ話のようなものだったことが今後現実になり得る日が近づいていると僕は思います。

自分が鍼灸師だということを抜きにしても鍼灸業界には大きな可能性があると思っています。だからこそ現状を歯がゆく思っています。もっとやれるだろ、鍼灸師!と。

 

また、芸術面での鍼灸を語らせてもらうと

鍼灸治療は、instagramや写真との相性が良いです。
美容鍼灸を受ける写真をSNSに投稿しているモデルさんも増えていますし、
鍼灸はそう行った面でも成長していける可能性があります。

普通の医療と美容整形が分かれているように
鍼灸も医療としての鍼灸と美容鍼灸で大きく分かれて行く可能性があります。

 

見た目が綺麗な治療ほど効果が高いと言う鍼灸師もいます。

科学と芸術、相反するような面、双方を持っているのが鍼灸師という職業です。
正直、可能性ありまくりな業界です。
特に海外に目を向けて見れば、伸び代しかない業界でもあります。

 

おわりに


長々と書いてきましたが、僕が伝えたいことは、

治療を必要としている方は、鍼灸などの国家資格を持った医療資格者のもとへ行って頂き、無資格者の方はぜひ、鍼灸業界へ足を踏み入れて頂ければと思います。

腕とパッションのある同志が増えてくれると嬉しいです。

 

 

また、可能性のある鍼灸業界へ投資してくれる方や会社がもっと増えてくれればという思いもあります。

そして、医師や柔道整復師、理学療法士など、お互い改革を必要としている医療業種が手を取り、個別に動くのではなく、連携した仕組みづくりをできればと思います。

まだまだ至らないところが鍼灸業界に多くあるのは、事実です。
しかし、それを変えようと動いている鍼灸師がいます。
悪いところを改善し、日本の鍼灸業界が大きく変わった時に医師と対等の立場で人々のために質の良い医療サービスを提供し、多くの人を苦しみから救えるような希望の光に鍼灸師たちがなれたらなと思います。

そして、

そんな鍼灸師が子供達に憧れられる職業になったらと。
すべては、1人でも多くの苦しんでいる人を救うため。

 

道のりは険しく、長いですが、そんな道を歩もうとしている鍼灸師がいるんだということを知って頂けたなら幸いです。

長文になりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
ここからは行動で思いを示して行きます!

MITS


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ブログでは鍼灸・医療・身体の事を中心にMITSが実際に経験したことから学んだことを書いています。

時には旅の話や日頃考えていることなど医療と全く関係ないことも書いています。

 

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