Date - 2020.07.09
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五行論で見る風の谷のナウシカ
皆さん、映画は好きですか?
僕は、好きです。特にジブリ映画が好きです。
今回はそんなジブリの話。
宮崎駿監督が作ったジブリ作品の中でも特に好きなナウシカを五行説の視点で読み解いてみます。五行説で見ることで新たなナウシカの魅力に気付けるかも!という視点で読んで貰えればと。
簡単に五行論とは。を説明しますと、
五行説(または五行思想)とは、古代中国に端を発する自然哲学の思想で、
万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説です。
また、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環する」という考えが根底に存在する理論でもあります。
詳しくは、ウィキペディアなんかを見て頂くと良いかと思います。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/五行思想)
それでは、風の谷のナウシカを五行説に当てはめて説明していきますね。
まずは、映画の中に出てくる舞台から。
「風の谷・腐海・酸の海・砂漠・ペジテの街」を五行に分けてみます。
風の谷 = 水・木
腐海 = 木
酸の海 = 木(水)
砂漠 = 土
ペジテの街 = 土
異論はあるかと思いますが、あくまで僕の考えとして読んでもらえればと思います。
風の谷のナウシカでキーワードとなるのは、腐海。
これは、物語の中で人間が汚染した土や水を浄化するものとして描かれています。
土や水から毒を吸い上げ、毒を胞子が排出することで浄化していく。
浄化する役目を終えて石化した木が砕けて砂となり、腐海の地下に清浄な空間を作り出していく。
また、砂漠となった土地や人間が住む岩石で作られた街を飲み込んでいく腐海は、まさに木剋土の関係と言えるでしょう。
腐海を「木」とした理由は、単純に腐海は、瘴気を出す森を指しますので、
単純に森=「木」ですね。
次に風の谷。
風の谷の1つ特徴と言えるのは、腐海と共に生きる選択をしているという点。
これは、風の谷のナウシカの中に出てくる他の都市が岩石を基盤に砂漠の中に街を作ったのに対して、風の谷は海に面した森の中に街を作っています。
風の谷は、海から流れる風によって腐海から飛んでくる胞子を防いでいます。
風の谷の森は胞子が付けばすぐに腐海の木々と同じように毒を出すようになりますので、同じものと考えられ、風の谷は、「木」であると言えるかと思います。
また、森から流れる綺麗な水が流れる風の谷は、「水」ということもできるかと思います。水生木という観点で言えば、風の谷の森の木々は、そこに流れる綺麗な水によって生み出されているため、風の谷が「水」でもあると言って良いと思います。
なので、風の谷は、「木」であり「水」としました。
ペジテの街と砂漠は、単純に土や岩石で出来たものなので、「土」としました。
酸の海は、汚れた「水」と位置付けても良いのかもしれませんが、これは、風の谷のナウシカの世界では腐海と同じ、人間にとっては味方となるものではなく、むしろ被害を与えるものなので、腐海と同じ「木」の位置付けであると考えました。五行説の中の五味(五種類の味、酸・苦・甘・辛・鹹)で酸は、「木」に当たりますし、本来ならば「水」ですが「木」の属性を帯びているとしました。
次に登場するキャラクターを五行に分けていきましょう。
風の谷の人々 = 土
トルメキア軍 = 火
ペジテの民 = 土
王蟲・蟲たち = 木
巨神兵 = 火
ナウシカ = 水
ユパ = 金
風の谷のナウシカにおいて重要となるキャラクターは、「ナウシカ」「ユパ」「王蟲」「巨神兵」だと個人的に思っています。
(漫画版の方を読んでいくとトルメキアのお姫様・クシャナも重要人物ですが、映画版ではそれがあまり出てこないので今回は割愛)
風の谷の人々、ペジテの民、その他映画には出てこない多くの人々は、「土」に属するかと思います。理由としては、腐海によって飲み込まれる街と同じで、腐海や蟲に剋される立場にあるものということで納得できるでしょう。
そもそも人間は五行では「土」に属すると僕は考えています。
(聖書では、人間は土の塵で作られたとも言いますしね。)
そんな人間の中でも特別な人が時に居ます。
ナウシカがまさにそれで、王蟲や蟲たちと心通わせ、蟲たちを生かし、蟲たちと共に歩む者としてナウシカが描かれていますよね。
また、水剋火として、トルメキア軍にとっての敵、打ち負かされる者としてもナウシカが「水」であることの説明になるのではないかと思います。
ナウシカがトルメキア軍を打ち負かす云々は、映画より漫画を読んで頂くとよくわかると思います。
映画の最後のシーンでナウシカが金色の王蟲の触手の上で青色の服を来て歩いているシーンなんてまさに五行を取り入れたシーンだと思います。
宮崎駿監督は一体どこまで考えて風の谷のナウシカを作っているんだ!と東洋医学を学んでからより敬意の眼差しでナウシカを観るようになりました。
また、土剋水という視点で言うならば、
土である人々によってナウシカは打ち負かされる存在でもあります。
ペジテの人々に押さえ込まれてしまうナウシカは、土剋水を描いた場面と読み取ることも出来ますね。
トルメキア軍が「火」である理由は、銃火器を使って腐海を焼こうとしている点で「火」と言って良いと思います。軍が「木」である腐海を切り開くことで「土」である一般の人々の街を生み出そうとしているという観点で見れば、火生土とも言えますし。
巨神兵が「火」である理由は、あれだけの火力を持っているものを「火」以外の属性とするのには無理があるだろうというのが1点、あとは単純に巨神兵を生み出すには、燃料となる木々必要ですし、腐海を焼き払って人間の住む世界を生み出そうとしているあたり「火」でしょう。
漫画を読み進めていくと、原作では巨神兵は、完全体となりナウシカに従うようになるのですが、「水」であるナウシカに従うものとして「火」である巨神兵は、辻褄も合います。
ということで、巨神兵が「火」であると言って良いかと思います。
王蟲・蟲たちが「木」である理由ですが、これは先にあげた腐海が「木」であるということを考えれば、その腐海を守る存在である王蟲・蟲たちは「木」に属すると考えるのが筋でしょう。
最後に、ユパを「金」とした理由ですが、
ユパは、他の人々とは異質な存在であり、
大ばば様がいうようにユパは導く人(≒ナウシカ)を見つける存在であり、
ナウシカを導く存在、ナウシカが「土」ではなく「水」であると気づかせる存在だと言えます。金生水ですね。
ユパによってナウシカが生み出された訳ではないですが、
様々な場面でナウシカを導く存在として描かれていることを考えれば、
ユパが「金」であるのも納得できると思いますし、
凄腕の剣士であることを「金」の属性として考えても良いでしょう。
(金属を扱う≒金属性)
風の谷のナウシカという映画作品は、
中国医学を元とする五行説の関係をうまく落とし込んで作られた作品だと言うことが出来ます。
(宮崎駿監督が五行論を知らずのうちに作り上げた可能性もありますが、僕はいろいろと調べた上で作ったんじゃないかと思ってます。)
「木」である腐海・蟲たちに抗う「土」であるトルメキアやペジテの人々が「火」である軍隊・巨神兵を用いようとしたが、「木」の力の強大さに負け飲み込まれそうになったところを「水」であるナウシカの自己犠牲によって「木」である王蟲・蟲たちをなだめた。
「その者青き衣を的いて金色の野に降り立つべし。失われし大地との絆を結び、ついに人々を青き清浄の地に導かん・・・」という風の谷にある古の言い伝えも「水」である青き衣の者が「金」である金色の野に降り立ち、「土」である失われた大地との絆を結び、「土」である人々を「水」である青き清浄の地に導くと捉えることが出来ます。
風の谷のナウシカの漫画版を読んでいくと、人々がナウシカのように腐海や王蟲や蟲たちの存在理由に気づくことで新たな場所≒腐海によって清浄された世界へたどり着けると描いています。これを五行論に当てはめるなら、「土」から「水」へ人々が変わることで、腐海に囲まれた世界から清浄な世界へと行けると描いてると考えることが出来ます。
どんな作品にでも言えることだと思うのですが、
物語の流れの中に五行論だったり、陰陽論だったり、この世の中の法則とも言えるような理論がベースにあると辻褄が合いやすく、世界観が整合された良い作品になるんじゃないかなと思います。
表面的な話の流れやキャラクター描写だけじゃなく、
その裏側、舞台である世界観の設定をしっかりと作ることが素晴らしい作品を作る必要条件なんじゃないかなと。
その点、風の谷のナウシカは、五行論をうまく取り入れた作品なんじゃないかなと思います。また、五行論がわかると、風の谷のナウシカという作品をより楽しめるのではないかと思います。それと同時に、やっぱり宮崎駿監督はすごい!と思えるかと。
現在、映画館のスクリーンでナウシカが観れます。※2020年7月時点の情報でした。期間限定の劇場公開でした。見れた人はラッキーでしたね。
一生に一度は、映画館でジブリを。
https://www.excite.co.jp/news/article/Otakuma_1033476/
ジブリ映画を映画館で観るとテレビで観るのとは違った没入感で観れて良いですよ!ナウシカは好きで何度も観ているけど、映画館で観て改めてグッと来ました。
今の時期しか出来ない体験を是非。
五行論の視点も参考にしつつ、風の谷のナウシカという素晴らしい作品を楽しんでもらえたらと思います。
漫画版を読みたい方はこちら↓から。
風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」
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