Date - 2016.11.29
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船の幽霊事情
人にはそれぞれ事情というものがあります。
それは人に限らず場所にもあります。
“事情”とは何かというと、
辞書で引けば、「物事の表面からはわからない背景や周辺の状況。」
らしい。
今日はいろいろある中でも特殊な事情と言えよう幽霊事情の話。
もしかしたら船に乗りたくなくなるかもしれないそんな話。
人生、知らなきゃ良かったと思うことの方が案外多いです。
知らぬが仏。
それでもついつい覗いてしまいたくなるのが人の性。
幽霊の話なんか知りたくない!っていう人はここで読むのを止めた方がいいかもしれませんよ。
何を知っても後悔をしないと決めた人だけ続きを読んでくださいね。
幽霊ばなし
これから語るのは嘘でもただの噂でもない実際にあった話。
それでは語るとしましょう。船の幽霊事情。
僕は幽霊を見ることは出来ません。
幽霊を感じることも出来ません。
専門学校時代に3年間1人暮らしをしていた家は、霊感がある友達曰く、お風呂場に女の人の幽霊が居るとのことだったんだけど実際に家で奇妙な体験をしたことは十数回程度あっただけで幽霊を見たことは一度もありませんでした。
それもお風呂場の前にあるトイレの鍵が勝手に閉まることが多々あったり、
1度だけ夜寝る時に窓も空いてないくてエアコンのスイッチも切れているのに生温かい風が顔に吹き付けられたくらいで実質なんの被害も被ってない。だから大して気にせず3年間その家に住んでいました。
そんな僕だからたとえ船に、たとえスパに幽霊がいたとしても全く気がつかないのだけど、霊感の強いスパガールズは幽霊を感じることがあったし、奇妙な目撃談も幾つかありました。
今日はその彼女たちの目撃談と
実際に僕も経験した奇妙な体験を紹介していきます。
Disney Wonder
僕が初めて乗った豪華客船はディズニークルーズのDisney Wonderという船でした。
この船のスパには引き継がれてきたとある噂があります。
それは、トリートメントルームのヴィラ1という部屋には白い服を着た女性の幽霊がいるということ。
僕も何度も足を踏み入れた部屋だし、毎日のようにそこでマッサージのサービスが行なわれているこの部屋に特に変わったところはない。かのように見える。
だけど、霊感のある子たち曰く、夜になるとその部屋の雰囲気が変わると。
夜はあの部屋に近づきたくないと彼女たちは言う。
実際に白い服を着た幽霊を目撃したという子もいました。
霊感が全くない僕からすれば本当のところがどうなのか確認しようもないのだけど、
ディズニーワンダーのスパに幽霊がいるという噂は今も引き継がれています。
まあ、こんな話はどこにでもあるでしょう。
次の船の話をしよう。
Westerdam
僕が2度目の契約で乗った船の話。
結果から言えばこの船のスパにも幽霊がいました。
目撃証言その1
とある日、スパの受付の子がスパの戸締りのためスパ内の鍵を閉めてを回っていた。
そのスパにはThermal Suiteというヒーティングベッドとスチームサウナ、シャワールームがついたスパ施設があるのだけど、彼女がその部屋に入った時にシャワーの音が、水の流れる音が聞こえた。
誰かがシャワーを浴びているのかなと彼女は思ったそうだ。
普通なら誰しも彼女と同じように考えるだろう。僕だってそうだ。
しかし、時刻は夜の9時半を回っている。ちなみにThermal Suiteには受付でルームキーを預けて鍵を受け取らないと入れないようになっている為、誰がその部屋にいるかは受付でわかるようになっている。
受付の子だからその部屋に誰がいるかは、”誰もいない”ことは先に知っていた。
だからこそ戸締りを始めたのだ。
誰もいないはずの部屋でシャワーの音がする。
もしかしたら誰かがいるのかもしれない。絶対に誰もいないとは言い切れないのだし。
誰かが本当にシャワーを浴びていただけなら良かったのだけどね。
そう、その部屋には誰もいなかった。
人っ子一人いなかった。
ちょっと待て。もしかしたら誰かがシャワーを止め忘れただけじゃないのか。
と思うかもしれない。
しかしそれも違う。
何故ならThermal Suiteのシャワーはボタン式で一定の秒数で勝手に止まるようになっている。
たとえ誰かがボタンを押したのだとしても1分も経たぬうちに止まる。
つまり、誰かが部屋にいない限り勝手にシャワーが動き出すことは絶対にない。
誰かが居たんだ。誰もいないその部屋に。
一体誰だったんだろうねそれは。。。
目撃証言その2
一人で夜のスパ、薄暗いスパの中を歩くのはあまり気分のいいものではないだろう。
ましてやそれがスパの一番奥にあるジムの電気が落ちてさらに暗くなっているとなるとなおのこと。
スパの戸締りをするのは出来れば避けたいと思うスパガールズは多い。
何事もなくとっとと仕事を終わらせたい。そう彼女も思っていた。
Thermal Suiteは何の問題もなく閉めた。トリートメントルームの戸締りもしてあとはぐるりと一周スパを回って何事もなければ今日も無事に1日が終わる。
そのハズだった。念のためジムの鍵がかかってることを確認して、、、
ジムの扉に差し掛かった彼女がそこで目にしたものは、
誰も乗っていないスピンバイクの車輪が勢いよく回転している光景だった。
そのスピンバイクは電動ではない。
つまり、誰かが乗ってこがない限り車輪が回ることはありえない。
それでも回るスピンバイク。
勢いよく音を立てて回るスピンバイク。
幽霊になってもエクササイズするだなんてなんと健康志向の強い幽霊だこと。
目撃証言その3
幽霊は暗くなってからしか出ないものなのか。
人がいなくなって静まり返ってからしか出ないものなのか。
いや、そんなことはない。
マッサージをしている最中に出ないといったい誰が言った。
僕が2度目に乗った船、Westerdamのスパには女の子の幽霊がいる。
年齢は8歳くらいの小さな女の子の幽霊だそうだ。数々の目撃証言がある。
マッサージセラピストの彼女もその目撃者の一人。
彼女の体験談はこうだ。
ある日、彼女は部屋でゲストをマッサージしていた。
なんてことはない。それが彼女の毎日であり仕事なのだから。
でも、その日はいつもと違うことがあった。
それは部屋の隅にこっちを見つめる女の子が居たことだ。
そこに居るはずのない女の子が。この女の子の幽霊はフレンドリーでよく近寄ってくるのだそうだ。
何度も幽霊を見たことがある彼女は女の子の幽霊に構うことなくそのままマッサージを続けた。その女の子の幽霊は近づいてきてマッサージを傍で見つめていたそうだ。
そしてそのうち居なくなった。なんともどストレートな現れ方をする幽霊だこと。
まあ、特に害はない子だからいいのだけれど。
というか幽霊が出たことを知ってそのままマッサージを続けたマッサージセラピストの方に僕としてはびっくりなんだけど。
他にも目撃証言多数のこの船。
もしも幽霊を見るために船に乗りたいというもの好きがいましたら、
Holland America LineのWesterdamをオススメします。
今まで僕が働いてきた船の数は5隻。
確率からして幽霊の目撃証言があるのは今のところ80%
3隻目の船は乗ってた期間が1ヶ月ちょいと短く幽霊の話をしなかったのでもしかしたら知らないだけでスパに幽霊がいたのかもしれないけど。
まあ、80%の時点でかなりの確率なんだけど。
ちなみに今乗ってる船のスパにも幽霊がいるらしい。
メンズサウナにいるらしい。
僕にはわからないけど霊感がある子曰く、
あそこは雰囲気が違うと。空気の温度が違うと。
まあ、サウナなんだから空気の温度が違うのは当たり前なんだけどな。
それでは大トリ。
締めに最後は実際僕が経験した話をしよう。
僕が乗った4隻目の船の話を。
Pacific Eden
僕が3度目の契約で乗った4隻目船の名前はPacific Eden。P&O Australia Cruise Lineの船でした。
オープニングスタッフとして乗ったので新しい船だったのですが、船自体はHolland America Lineから中古で買い取った船で20年以上航海をしている古い船でした。
人間はいつ何時死ぬかわからない。クルーズ旅行中に船で息をひきとる可能性だってある。実際に僕が船に乗っている間に乗客が亡くなったこともありました。
Holland America Lineは特に乗客の平均年令が高く、クルーズによっては70歳を超えることもあります。僕が船で治療した最高齢のゲストは93歳でした。
つまり、そのHolland Americaの船だったPacific Edenで過去に亡くなった方が多くはなくともいるのです。そしてそれは乗客だけでなく事故で亡くなったクルーも含まれます。
事故で亡くなったクルーがしっかり供養されなかったから今でも船内をうろついている。クルーエリアを彷徨っている。なんて話もこの船にはありました。
そして、僕の職場であるスパにはマーガレットという女性の幽霊がいる。というのが周知の事実としてありました。
水周りであるThermal Suiteに何かがいるから一人で行きたくないから戸締りするのについてきてと何度頼まれたことだろう。
マーガレットは、タイ人のマッサージセラピストが好きらしく彼女のトリートメントルームに痕跡を何度も残していました。
彼女がマッサージするのに使ってたベッドは特殊なベッドで、クォーツストーンが敷き詰められたベッドだったんだけど(ちなみにこのベッドを使って鍼治療をすると普通のベッドで治療するよりも鍼の効きが良い、気がします)、
その均しておいたクォーツストーンのベッドに朝になると誰かが指で引っかいたような跡が残ってる。。。なんてことが結構な頻度でありました。
まあ、メッセージが書かれていた。なんてことはなかったのだけれど。
そんなマーガレットが出る部屋で鍼治療をしていた時の話。
実際にはその部屋でタイ人のスパガールに鍼治療をした後の話なんだけど、
彼女が治療を終えて部屋に戻って着替えする時に初めてわかった話なんだけど。
治療を終えて部屋に戻って彼女が寝るために着替えをしていると
パンツの中から鍼が出てきた。
パンツと言ってもズボンをしゃれて言ってパンツと言ってるのではなく下着のパンツのことだ。
おいMITS、鍼を抜き忘れるなんて。。。と思った人。ちょっと待ってほしい。いや、ちょっと考えてほしい。そして、ちょっと言わせてほしい。
パンツの中と言ってもパンツとお尻の間に鍼が挟まっていたわけじゃない。
“パンツの底部”に鍼はあったんだ。
さらに言えば僕は彼女に治療をした時は、腕と脚のツボしか使ってないし、彼女は下着はおろか服すら脱いでいない。
そう、物理的にパンツの中に鍼が残るのはありえないのだ。
それに僕は鍼を抜く時はちゃんとを数えている。もちろんその時も全ての鍼を抜いたのをしっかりカウントしている。
もう一度言おう。パンツの中に鍼が残ることなんてことはありえない。
それでも事実として鍼は彼女のパンツの中から出てきた。
もしこれが幽霊の、マーガレットの仕業じゃないというのならどうすればこんなことが起こりうるのか説明してほしい。物理的にどうすれば鍼がパンツの底部に入るのか説明してほしい。
まあ、まず無理だろう。
幽霊が船にいる。スパに幽霊がいる。それはもうまぎれもない事実として僕はこの時初めて確認した。だからと言って何が出来るわけでも何かが変わるわけでもないのだけど僕は初めて認識した。
まあ、「あ、やっぱり居たのね。」程度の感想しか僕にはなかったのだけど。
僕は幽霊の存在を信じてはいるが、だからと言ってそれを恐れることはないし、むしろ居るのが当たり前なことだと思っています。そしてなぜ人はあれほど幽霊を怖がるのか正直僕にはあまり分かりません。
だって、
生きてる人間の方がよっぽど残酷で残忍で残虐で怖いのだから。
人間の怖さに比べたら幽霊なんて恐るるに足らずと僕は思ってます。
自分には幽霊が見えないからそう思うだけなのかもしれませんが。。。
今日は、船の幽霊事情についてお話をしました。
100%とは言いませんが、船にも幽霊はいますよ。という話でした。
毎年のように、船からクルーや乗客が消えたなんてニュースは表沙汰にならずともあるものです。
海に落ちてしまったのか、今も船の中をさまよっているのかは誰にもわかりません。いったい彼らはどこに行ってしまったんでしょうね。
幽霊にひかれたのかもしれませんね。
くわばらくわばら
事実は小説よりも奇なり
MITS
マーガレットの出る部屋へと続く道
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