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Date - 2025.02.09

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『脈診入門:初心者でも分かる!脈診の触り方と上達のポイント』

脈診とは、脈の強さや速さ、状態などを観察して、体の状態を判断する東洋医学の診断法。

 

その起源は、古代中国の医学書『難経』に「手首の脈を診ることで全身の経絡の状態を判断できる」と書かれていることにあります。

 

『難経』とは、古代中国の医学書『黄帝八十一難経』(こうていはちじゅういちなんぎょう)の略称で、『八十一難経』ともいわれる。成立年代ははっきりわかっていないが、『黄帝内経』成立より後であり、 また傷寒雑病論の張仲景が序で『八十一難経』を参考にしたと述べていることから、それに先立つ著作である。内容から後漢以降に成立したと考えられている。
参照元:ウィキペディア


しかし、脈を診るのは東洋医学特有のものではなく、
現代医学、西洋医学でも臨床の中で医師は脈を診ているし、
西洋伝統医学であるユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)でも体液の状態を知るために脈診が重視されていたとされています。

 

中医学、日本鍼灸における脈診と現代医学において脈を診る行為の差は、

”どうやって脈を触り、何を診ているのか”

の違いにあると言えます。

 

東洋医学の脈診法を身に付けて脈を診れば、体の状態や不調が分かり、何を食べたのか、今後起き得る疾患や症状、妊娠の有無なども分かると言われています。
達人の域に達すれば、脈を診ただけで問診をしなくても患者の悩みが分かり鍼灸治療で治すことが出来るそうです。

僕が今まで出会って来た鍼灸師で、1人その域に到達していた方がいらっしゃり、事実、その方は患者さんが何を食べていたのかを当てていました。

 

昨日ラーメンたべましたね、とか。
ここ2~3日で山椒を食べませんでした?、とか。
(両方とも当たってました。)

この領域まで行くのはなかなか難しいですが、
普段の鍼灸臨床で使えるくらいの脈診技術や自分自身の体調を判断する1つの手段としての脈診を身に付けることは、

”脈の触り方さえ知っていれば”

そう難しくないかなと僕は思っています。

 

しかしながら、日本の鍼灸師で脈診が出来る人は実は少ないです。
特に最近の若手鍼灸師さんの中にはそもそも脈診を身に付けようとすらしていない方も少なくないです。

鍼灸師さんの多くが脈診を身に付けることを断念する理由は、
そもそもどうやって脈を診たら良いか教わる機会がないのと、大体の脈診の本には、どうやって脈を触って、脈の何を診ているのかがあまり書いていないからです。

 

ほとんどの脈診の本は、脈の性状がどうだと体がどんな状態であるかが書いてあります。
つまり、脈の性状を読み取れることが前提とされているんですね。
なので、これから脈診を身に付けようと思っている人からすると、
「どれがどれやねん、分けわからん。」となって脈診の勉強を断念することになってしまいます。

 

そんな現状もあり、日本鍼灸では脈診は廃れつつあるのかなと思いつつ、
X(旧Twitter)で、このような↓脈診についての投稿をしました。

https://x.com/MitsMatsunaga/status/1853046601847370062

 

いいね数が10~40前後で推移している僕の普段の投稿の数倍の反応がありました。
ブックマークの数も普段と比べものにならない数になりました。

 

どうやら、皆さん興味はあるみたいですね。
興味を持っている人はいるのにやっている人が少ないのは、先にあげたように、そもそも何をどう診たら良いか分からないということに問題がありそうです。

 

ということで、
前置きが長くなりましたが、

今回の記事は、脈診を身に付けるための脈の触り方についてまとめて行きます。

この記事は、ビギナー向けになります。

ですので、どんな脈の性状がどのような体の状態を現わしているかなど、
詳しい脈診の内容についてはあまり言及しません。

詳しい脈診について学びたい方は、脈診の書籍を購入して勉強されることをおすすめします。

 

おすすめの本


鍼灸臨床新治療法の探究

※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。

 

この本は脈診だけについて書かれているわけではないですが、
医師でもある鍼灸師の著者の臨床経験の中で培った脈診についての考察がまとまっています。
東洋医学についての基礎知識があった上で読むのが良い書籍にはなりますが、脈診を使って鍼灸師を生業としてやっていきたい方にとって、転ばぬ先の杖になり得る良書です。

 


死にたくなければ毎日「脈」だけみなさい: 健康状態を3本の指で測る「セルフ脈診」

 

こちらは、僕が出会った脈診の達人が書いた一般向けの脈診の本です。
基礎知識のある鍼灸師向けではない分、一般の方にも分かりやすく脈の診方が書かれており、
脈の診方の入門書として良いのかなと思います。

注意点を上げるとするれば、この方の独自の経験に基づく脈診方法が書かれていますので、
他の脈診方法を使われている鍼灸師さんからすると腑に落ちない点もあるかもしれません。

この本以外にこの方の脈診方法を学ぶことができず、著者もすでに亡くなられているため、
他の脈診の本の情報とこの本にかかれている脈診方法をどうやって共存させるか工夫が必要なのがマイナス点になるかもしれません。

 

 

脈診を学ぶ方法

さて、では本題に入ります。

一体どうやって脈診を身に付けていったら良いのでしょう?

ChatGPTに脈診を学ぶ方法について質問してみました。

質問文:
東洋医学の脈診の技術を身に付けたいと思います。どのように学べば良いでしょうか?
脈診の方法を教えてください。

回答:
脈診の学び方

1.基礎知識を学ぶ
・東洋医学の基礎理論: 陰陽五行説、経絡、臓腑理論などを理解します。
・脈診の理論: 脈の種類(浮・沈・遅・数・虚・実など)や、脈の位置(寸口、関、尺)について学びます。
・教材: 東洋医学の教科書や、脈診に特化した本を活用しましょう。例えば、『黄帝内経』や『難経』には脈診に関する記述があります。

2.専門家から学ぶ
・鍼灸師や漢方医の指導を受けることで、実際の感覚を学べます。
・脈診に特化したセミナーやワークショップに参加するのも有益です。

3.実践と経験を積む
・繰り返し練習し、脈の微妙な違いを感じ取れるようになります。
・家族や友人をモデルにして脈診を練習し、フィードバックを得ます。

4.記録と分析
・脈の状態を記録し、症状や治療の結果と照らし合わせて分析することで、経験を蓄積できます。

脈診の方法
1.基本的な準備
環境: 静かな場所で、患者さんがリラックスできるようにします。
姿勢: 患者さんの手を自然に伸ばし、手のひらを上に向けて膝の上に置きます。
指の使い方: 脈を取る際、人差し指、中指、薬指を使用します。

2.脈を取る場所
寸口(手首の橈骨茎状突起の内側)にある3つのポイントで脈を診ます:
・寸(手首側): 上焦(肺、心など)を診る。
・関(中央): 中焦(肝、脾、胃など)を診る。
・尺(肘側): 下焦(腎、膀胱など)を診る。

3.診察の手順

 1. 圧の強さを調節する
 ・軽い力で表面の脈(浮脈)を診る。
 ・中程度の力で中間層の脈を診る。
 ・強い力で深部の脈(沈脈)を診る。

 2. 脈の性状を観察する
 ・脈の速さ(遅脈・数脈)
 ・脈の強さ(虚脈・実脈)
 ・脈の形状(弦脈、滑脈、濡脈など)

 3. 両手を比較する
 左右の寸・関・尺の脈を比較し、全体のバランスを確認します。

4.結果の分析
・脈の状態から身体のエネルギーの偏りや、臓腑のバランスを推測します。
・診断した内容は、患者の症状や舌診・問診の結果と統合して解釈します。

↑こちらがChatGPTの回答。
ざっくりとした内容ではありますが、よくまとまっていると思います。
最近のAIの性能の高さには驚かされるばかりです。

この順番で脈を診つつ、細かいポイントを理解した上で脈を触ることが出来れば、
独学でも脈診を身に付けていくことができると思います。

 

 

 

脈を診る上でのポイント

ChatGPTの流れを元に、僕が脈を診る時に注意しているポイントを示していきます。

1.基本的な準備
環境: 静かな場所で、患者さんがリラックスできるようにします。
姿勢: 患者さんの手を自然に伸ばし、手のひらを上に向けて膝の上に置きます。
指の使い方: 脈を取る際、人差し指、中指、薬指を使用します。

こちらは座位で診ることが前提とした指示になっていますが、
脈を診るのは座位でもベッドに寝た姿勢でも構いません。


ここでのポイントは、前後比較をするため、
「患者さんを毎回同じ姿勢にした上で脈を診る」ことです。
脈は姿勢が変わるだけでも多少変わります。
評価基準を一定にするために常に同じ姿勢にするのが良いです。
これは脈を診る側である施術者に言えます。
できれば施術者も毎回同じ体勢で診れると良いですね。


白衣を着ている医師に血圧を測られると血圧があがってしまう人もいるので、
最初に落ち着いてもらうためにも患者さんに深呼吸を一度してもらっても良いでしょう。

指の使い方ですが、人の指は、「指の腹よりも指の先、爪の下の部分の方がやや敏感」なので、
少し指を立てて脈に触れると拍動が分かりやすいです。

脈診に使う指は、人差し指、中指、薬指の3本で、
この3本の指が水平になるよう揃えて手首の橈骨動脈拍動部に触れて行きます。

 

2.脈を取る場所
寸口(手首の橈骨茎状突起の内側)にある3つのポイントで脈を診ます:
・寸(手首側): 上焦(肺、心など)を診る。
・関(中央): 中焦(肝、脾、胃など)を診る。
・尺(肘側): 下焦(腎、膀胱など)を診る。


脈を取る場所、指を置く位置は、手首のシワの部分。
人差し指が手首のシワの真横に来るようにして指を置きます。(東洋医学では、ここを寸口と呼びます。)
ですので、「患者さんの右手の脈を診る時は左手で、左手の脈を診る時は右手で診る」と良いでしょう。

人差し指があたる部分が寸、
中指があたる部分が関、
薬指があたる部分を尺と言います。場所の名前ですね。
(カルテを書く際は、全体の脈の性状を書いた上で、右寸が虚、左関が実、というような形でそれぞれの脈の状態の記載をして行きます。)

 

この寸関尺それぞれの脈の状態を診て行く脈診方法で、六部定位脈診というものがありますが、
これは古代中国の本を元に江戸時代の日本で発達した脈診方法で、最近の中国ではあまり使われていません。

中医学(現代中国で発達した鍼灸学)では、脈全体の状態を見て、何脈かを判断します。
いわゆる、寸口診、人迎気口診が主流だと言えます。

それぞれの脈診について説明すると長くなりすぎてしまうので今回の記事では割愛しますので、興味がある方は調べてみてください。

1. 圧の強さを調節する
 ・軽い力で表面の脈(浮脈)を診る。
 ・中程度の力で中間層の脈を診る。
 ・強い力で深部の脈(沈脈)を診る。

脈を診て行く際に重要なのが、指の圧力です。
脈を押さえる力が強過ぎても弱すぎてもいけません。
力を調整をして、自分が診たい場所の脈の強さを感じれるようになることが大切です。

どれくらい力をいれるかを考える前に、
まずは自分が「何を触っているかしっかりイメージをする」ことが大切です。

これは脈診だけじゃなく、触診をする際にも重要なことですが、
ただ皮膚の表面を押すのではなく、どれくらいの力で押さえることで体の表層から深層のどこまで力が伝わっているのかをイメージすることが重要です。

脈診で診ているのは、
血管の中の血液の流れであり、血管の弾力性であり、血管を通して感じる心臓の拍動の力強さです。

つまり、脈診で診たいのは血管なので、
血管の表面、血管の中央部、血管の底の3層を触って診るイメージが持てると良いです。

診方としては、
まず、指の圧をかけて奥まで押し込み、一番深い層の脈の強さを診ます。
次に圧を少し抜いて、脈の真中、中脈の強さを診ます。
そして、そのまま圧を抜き、皮膚に触れるだけくらいの圧にして一番浅い層の脈の強さを診ます。

一番浅い層は、血管の表面なので、圧を完全に抜ききるわけではないということを理解して触ると上手く脈に触れることが出来るかなと思います。

 

触りたいところを触れるようになったら、それぞれの部位、各層で脈の強さや性状を診ていきます。

2. 脈の性状を観察する
 ・脈の速さ(遅脈・数脈)
 ・脈の強さ(虚脈・実脈)
 ・脈の形状(弦脈、滑脈、濡脈など)

これらはどの順番で診ても良いのですが、

僕はまず全体的な脈の強さ、各層の強さを診ています。
そして次に脈の速さ遅さを診ます。

一般的な脈拍数は、1分間に60-80回。
個人差がありますが、だいたい70回前後の方が多いです。
患者さんの普段の脈のスピードと比べられると、いつもとの違いが分かりやすいですね。

平脈(病的問題がない脈)の速さは、一呼吸の間に4回半打つ脈だと言われています。
通常時の脈拍数には個人差があるものなので、
単純な回数で脈の速さ遅さを判断するわけではなく、
その人の呼吸に対して何回脈打っているのかで遅い速いを判断します。

なので、脈を診る時は患者さんの呼吸にも気を配るのが重要です。

脈の強さ速さを診たら、 手首の各部位(寸関尺)を診ていきます。
それぞれの指でどの層が一番強く脈を振れるのか、
全部が一緒なのか、特定の部位だけ脈が浮いたり沈んだりしているのかを診ます。
これは各臓腑の状態を確認しています。
(どこがどうというのは今回の記事では割愛します)

 

脈の強さ、速さ、各部位毎の状態を確認したら、今度は、脈の性状を診ていきます。

ギターの弦のように張っていたり、
コシのないうどんのようにフニャフニャだったり、
脈の幅がか細く振れにくかったり、
脈の幅が分からないくらい大きく触れたり。
脈がヌメっとしている時もあります。

ここからは中級レベルですが、
脈の出入り時を感じるのも大切です。
ビンビンと脈が指を押してくる時もあれば、
ゆったり脈が指を波打ってくる時もあります。

3本指全部を同時に押し上げる脈があったり、 指1本1本が順番に押し上げられるように感じる脈もあります。

極稀にではありますが、
脈がバイブレーションしているように、 ジジジっと脈に振動を感じる時もあります。
こういう時は要注意の脈。 ホルモンバランスが崩れていたり、大きな病気が隠れていたりします。

あと、面白いのが妊婦さんの脈。 脈が強い場所が2箇所あったりします。
一番深い層の脈と一番浅い層の脈が強い。
普通なら無い脈ですが、妊娠して赤ちゃんが出来ると赤ちゃんの気が母体の脈に現れ、2ヶ所脈が強くなるのかなと僕は考えてます。 (僕の妻が妊娠した時にもこの現象を確認出来ました)

妊娠すると滑脈になると言われているのですが、
梅雨の時期や体内に湿が溜まりすぎている病的な状態でも滑脈が出るので、
妊婦の脈は滑脈かつ、脈の底も強く脈打つやや速い脈という認識をもっておくと良いかなと僕は思います。

滑脈(かつみゃく)とは、脈の流れが滑らかで、指先にコロコロと触れるような脈です。
痰飲や食滞、湿証、妊娠時にみられる脈として知られています。

3. 両手を比較する
 左右の寸・関・尺の脈を比較し、全体のバランスを確認します。

 

脈の強さを診る時は、
寸関尺それぞれの部位の中で浅い所・中層・深い所で比べてどこが強いのか(もしくは弱いのか)を診るのと、同じ腕の脈の他の部位と比べてどうなのか左右の腕の寸関尺の脈を比べてどうなのかまで診れると良いです。

鍼灸治療の中で人の体を診て行く際、
絶対評価の指標と相対評価の指標の両方で診ていけるとより深く体のことが見えてきます。
それがわかるようになるには経験が必要なので、最初はよく分からないと思いますが、分からない中でも自分が何を診ているのか常に意識して診ることが大切です。
その積み重ねが将来役に立ちます。

4.結果の分析
・脈の状態から身体のエネルギーの偏りや、臓腑のバランスを推測します。
・診断した内容は、患者の症状や舌診・問診の結果と統合して解釈します。

脈に触れる、脈を診ることができるようになったら、
今ある脈が何を示しているのかを考えて行きます。

この段階で初めて脈診の本の内容が活きてきます。

脈には祖脈と呼ばれる脈の状態を分類する6つの状態(浮、沈、遅、数、虚、実)があります。
脈全体で遅数(スピードの速い遅い)ががあるのか、平脈(遅くも早くもない脈、1呼吸で4~5拍動の脈)なのか、 左右の寸関尺それぞれの部位の浮沈(脈の浅い部分が強いのか深い部分が強いのか)虚実(力強いか、弱いか)がどうなっているのかを診て行きます。

左右の寸関尺は、それぞれ浅い場所と深い場所が各臓腑に振り分けられています。

浅い場所深い場所
左寸小腸
左関
左尺膀胱
右寸大腸
右関
右尺三焦心包

寸関尺の虚実を診る際は、浅い所と深い所のそれぞれの場所で脈の強さがどうか診て行きます。
平脈で病的異常がない脈であれば、脈の真ん中が一番強く、浅い所も深い所も同じような強さで脈打っています。
逆に、何かしらの臓腑の異常があれば、特定の場所だけ脈が強かったり弱かったりしています。

 

これらを診て行くのに大切なのは、基準となる平脈がどのような脈であるかを知っておくことです。

たとえば、レントゲン画像を見た時に普段から見慣れている医師であれば異常に気付けますが、一般人でレントゲン画像を見てすぐに異常が分かる人はほとんどいないと思います。
なぜ医師には分かるのかというと、医師は正常のレントゲンがどんなものか分かっていて、それと比べてどうなのかが判断でき、異常に気付くことができます。

脈診もこれと同じで、
通常の脈(平脈)がどのような脈なのかを知っておかなければ、脈の異常を検知することはできません。

 

平脈を知るために良い方法は、毎朝おきがけに自分の脈を診ることです。
毎日触っていれば基準が出来てきますので、それを元に脈の強さや弱さ、浮き沈み、速さ遅さを診ていけるようになっていけるでしょう。

平脈がどれくらいの強さなのかすぐに知りたいという方は、脈診が出来る人に聞いて患者さんや同僚の脈を一緒に診て、どれが平脈なのかを教えてもらうと良いでしょう。

なかなか独学だけで脈診を身に付けるのは大変ですが、
毎日自分の脈を診て、患者さんの脈を診続ければ、自ずと脈の判断ができるようになります。
そうなるまでどれくらいかかるかは個人差がありますが、
僕の場合、脈を診始めてから脈診で読み取った内容を自信を持って自身の臨床に取り入れられるようになるまで約1年半、患者数でいうと2000人くらいかかりました。

脈診を身に付けるということは時間がかかるものだと思っておくのが良いでしょう。

おわりに

今回の記事では、ビギナー向けに脈診をみにつけるためのポイント、
脈の触り方について書いてきました。

なかなか文章を読むだけでは想像しづらかったかもしれません。
ぜひ、ご自身の脈を触ってみながら下記のポイントまとめをおさらいしてみてください。

ポイントまとめ

  • 「患者さん(もしくは自分自身)を毎回同じ姿勢にした上で脈を診る」
  • 「指の腹よりも指の先、爪の下の部分の方がやや敏感」
  • 「患者さんの右手の脈を診る時は左手で、左手の脈を診る時は右手で診る」
  • 「何を触っているかしっかりイメージをする」
  • 体の表層から深層のどこまで力が伝わっているのかをイメージする
  • 血管の中の血液の流れであり、血管の弾力性であり、血管を通して感じる心臓の拍動の力強さ
  • 一番浅い層は、血管の表面なので、圧を完全に抜ききるわけではない
  • 脈を診る時は患者さんの呼吸にも気を配る
  • 脈の出入り時を感じるのも大切
  • 浅い所・中層・深い所で比べてどこが強いのか(もしくは弱いのか)を診る
  • 同じ腕の他の部位と比べてどうなのか
  • 左右の腕の寸関尺の脈を比べてどうなのか
  • 自分が何を診ているのか常に意識して診る
  • 脈全体で遅数(スピードの速い遅い)ががあるのか、平脈(遅くも早くもない脈、1呼吸で4~5拍動の脈)なのか、 左右の寸関尺それぞれの部位の浮沈(脈の浅い部分が強いのか深い部分が強いのか)虚実(力強いか、弱いか)がどうなっているのか
  • 寸関尺の虚実を診る際は、浅い所と深い所のそれぞれの場所で脈の強さがどうか
  • 平脈で病的異常がない脈であれば、脈の真ん中が一番強く、浅い所も深い所も同じような強さで脈打っています。
  • 大切なのは基準となる平脈がどのような脈であるかを知っておくこと
  • 平脈を知るために良い方法は、毎朝おきがけに自分の脈を診ること

脈診の達人になるには10年以上の修行が必要だと言われていますが、
脈診の本の内容と照らし合わせてある程度脈が診れる状態になるのはそう難しくないと僕は思います。

なんとなく分かる、という形であれば、人によってはこの記事のポイントさえ押さえておけばすぐ出来るようになるかもしれません。

脈診を臨床で活用していくには実際に触ってそれぞれの脈を診たことがあるという経験が大切です。
こればかりは自分の脈を診るだけでは積み重ねることができないので、ご家族やご友人、患者さんの脈にたくさん触れてみてください。

触れば触るほど、理解すればするほど、人体の不思議さと先人たちの観察眼の素晴らしさを知ることができるでしょう。

大切なことは続けること。
脈診を身に付けたいと思っている方は習慣になるくらい脈を診るようにしていきましょうね。

 

おまけ

脈診にもいくつかの種類があり、人それぞれ腑に落ちやすい学び方があります。
指先の感覚よりもデータを重視したいという方は、脈波のデータを取ってそれを各種の脈と比べ説明している本もありますので、そういった本を探して勉強すると良いです。

個人的におすすめなのがこちら↓の本。
脈診の本に出て来るそれぞれの脈がどのような脈波なのかを画像で診ることが出来ます。
鍼灸師の指先の感覚だけに頼りがちな脈診を、脈波をもって示している数少ない本です。


中医臨床のための舌診と脈診

そもそもの脈診の理論が知りたい、現代で行われている脈診のルーツが知りたい、しっかりと脈診について学びたいという方は、日本鍼灸・脈診の原点と言える曲直瀬道三の著書『脈論口訣』の現代語訳された本を読むのが良いとでしょう。
こちらもおすすめの一冊です。


現代語訳 脈論口訣―原文・注釈・解説付き

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