Date - 2019.02.23
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結局ツボって何なの?ガッテンを見てガッテンしなかった人に捧ぐ。ツボって〇〇
先日、NHKの番組ガッテン!で鍼治療が特集されてましたね。
見た方も多いんじゃないでしょうか?
実際、見てどう思いました?
僕は、
「これ、ますます鍼灸治療がトンデモ治療って捉えられたり、謎が深まったんじゃね?」
って思いました。
ガッテン!で、
WHO(世界保健機関)で定められたツボは、体に361個ある。
そしてその次にTVで中国の偉い先生が出て来て、
ディレクターの治療で「足三里(ツボの名前)が出来てますね。」
と言ってる時にツボは常にあるものではない?みたいなテロップが出て来たのにその後、じゃあ、ツボってなんなん?という説明はないし。
あれを見て、鍼治療が分かりました!っていう人はまず居ないんじゃないかと。
結局、最初に出た治療の映像でも、針を1本刺して、「これです。これ。この硬いの。」みたいに言うだけで何の説明も無いし、患者さんもポカーンとして不思議です。で終わってるし。
治るから良いよね。っていうスタンスで番組が終わってしまって、
これって結局、
今までの鍼灸師の説明が出来ない治療だけど治るからいいでしょ。みたいなエゴを押し通そうとしてるだけのように僕は感じました。
(TVに出ている鍼灸師の先生方がそう思ってると考えているわけではなく、そう見えてしまったということ。)
確かに、エコーを使って、刺鍼部位を見て、筋膜の厚さがが針を刺した後に変わってるのが見て取れて、針を刺せばシワが寄った筋膜が元に戻って痛みが改善されるであろうことはわかったけど、
何で鍼治療が内科疾患に効くのかの説明には一切ならないし、
最新の科学的な鍼灸の研究の話なんて出てこなかったし、
僕個人としては全く満足できない内容でした。
とりあえず、ツボって何なの?という説明くらいはちゃんとしてくれよと。
ということで、今回の記事では、
解剖学的にツボが何なのかを説明します。
この説明はまだ仮説レベルかもしれませんが、
しっかりとした解剖学の知識とドクターによる研究結果と僕が実際に行った解剖実習でこの目で見て来たことから説明をしますので、
どこぞのトンデモ理論では無いです。
研究の出典は最後に載せてますので気になる人はそちらを確認してください。
ツボって何なの?
答え:結合組織(コラーゲン/筋膜(英語で言うFasia)が絡まった場所。硬結として触れることが出来る。
もしくは逆に結合組織(コラーゲン)が緩んだ場所。陥凹として触れることが出来る。
先に答えを簡単に書きましたが、
それがツボだとなぜ言えるのかの説明をしていきます。
鍼灸師さんが鍼灸学生さんなどにツボがどこにあるのかを教える時、
指が止まる場所だと言ったりします。
学生からすれば、
「いや、指、止まらねーし。意味わかんねぇわ。」
となってしまうこともあるのですが、
その場合は、指に力が入り過ぎているから微妙な突起や陥凹を感じることが出来ていないからわからないのです。
指が敏感になり、皮膚に触れるか触れないかの圧力で触れるようになるとツボを感じられるようになります。
これだけでは、
「じゃあ、結局、触らないとわからないんでしょ。そんなの個人差あるし、証明のしようがないじゃん。」
となってしまうので、画像で示しておきます。
1枚目の写真は見てもらうとわかるように、結合組織がねじれています。
これは、超音波検査で見て取ることが出来ます。
これとまったく同じねじれ方ではないのですが、
結合組織/筋膜(Facia)がねじれている場所の多くがツボだと考えてもらうと良いでしょう。
(この画像自体は、針を刺して捻ったものを撮っているものであって、ツボ自体の写真ではないのでイメージとして捉えてください。)
では、針はツボに対して何をしているのかというと、
2枚目の写真のように針を刺して回すことで、
そのねじれを解消することが出来ています。
ガッテンの1番初めに鍼灸師の人が患者さんの首の治療で針を刺して、
「これです、これ。この硬いの。」と言っていたのは、
結合組織のねじれによって出来ていた硬結のことだと言えます。
針でその硬結を解消したことで、
患者さんの首の可動域制限が改善されたと言えます。
硬結があると結合組織の動きが制限される為、
動きの制限を引き起こします。
逆に言えば、
その結合組織の動きの制限を解消すれば、
動きは必然と良くなります。
マッサージでその硬結を解消することはもちろん出来ますが、
針の方が直接人体内部の硬結にアプローチできる分、
治療時間が短くて済むというメリットがあります。
部位によっては体表からのアプローチでは届かない場合もありますし、
(おしりや、腰の深い場所など)
針だからこそアプローチできる場合もあるでしょう。
で、そのツボが人体のどこに存在するかというのが分かるのが、3枚目のこの写真。
赤い点でAPと記されているのが、
ツボ(Acupuncture Point)です。
筋肉の表面の肌色の部位、
つまり、結合組織内に存在しています。
また、このツボの形は、丸ではなく、 さまざまな形を取り得るでしょう。
結合組織の絡まり方次第と考えられるので、
納得できるかと思います。
図で表すとこんな感じ↓
僕は、鍼灸師が針で治療をする場合、
狙っている場所は必ずしもツボ(結合組織が絡まった場所)ではないと考えています。
僕らは、もう少し深いところ、 筋肉自体にも針を刺します。
この時に狙っているのは、
筋線維の絡まりと言えるでしょう。
(これも広義でツボと言っても良いのかもしれません。)
肉離れで筋繊維が断裂すると後に瘢痕化します。
そして、重症じゃない筋線維の断裂は日常生活でも十分に起こります。
筋トレで筋肉を大きくするのなんて、
まさにその微細な筋線維の断裂を引き起こし、
身体がその修復をすることで筋肉がより大きくなることを利用しています。
しかし、
筋線維が絡まって動きが悪くなれば、
可動域制限や痛みといった症状として出てきます。
針をその絡まった筋繊維、瘢痕化した組織に打てば、
絡まりを解消することが出来、
痛みや可動域制限といった症状を改善させることが出来ます。
それが、鍼治療の一つの方法であり、
外国だとドライニードルと呼んで理学療法士が針を用いて筋疾患の治療をしていたりします。
すでに針を使った治療は、世界的に見れば鍼灸師だけのものではなくなって来ていますね。
ツボは常に存在するものではない。
中国の偉い(らしい)鍼灸師が映像の中で
「ツボが出来ていますね。」
と言ったのは、これまでの説明で理解できるかと思います。
ツボとは結合組織の絡まり(もしくは緩み)なので、
絡まり(もしくは緩み)が無ければツボとして触れることは出来ません。
つまり、ツボの図(経穴図)というのは、
結合組織の絡まりor緩みが出来やすいポイントであり、
常にそこにツボがあることを示しているわけではないです。
健康な人であれば、人体に結合組織の絡まりや緩みが出ている場所が少ないので、理論上、ツボはないということが言えます。
完璧な健康状態の身体を持っている人はまずいないので、
誰しも少なからずツボとしての反応点はあるかと思いますが。
ここでおそらく疑問として出てくるのが、
なぜ、内科疾患にも効くのか?
ということ。
これについては、人体についてもう少しミクロな視点で見て行く必要が出てきます。
全て書くと長くなってしまうので、
今回はこの辺で。
また次回の記事↓で、ツボについて別の角度から説明していきます。
MITS
参考
https://www.slideshare.net/mobile/thorntonstreeter/primo-vascularmeridian-system-2016
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