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Date - 2019.03.16

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楽しみにしていた本の書評書きました。 「ツボがある本当の意味」栗原誠著

熱い想いがつまった本を読んだ。
この著者が臨床にかける想いや考え方がつまってるそんな本でした。

だからこそ、正直な書評を書こうと思います。


ツボがある本当の意味 〜経絡理論を根底から覆すツボの考え方〜

 

こんにちは、鍼灸師のミッツです。
肩書きは正直なんでも良いんですけどね。
鍼灸治療以外のこともやってるし、むしろここのところはあまり鍼灸やってないですし。
(現在、プータロー、もとい豪華客船の仕事で負った心身の疲れを癒し中です)

 

僕は、鍼灸師の資格を持ってるのですが、
今回の本は一般向けということなので、
一般の人が読んだらどう感じるのかという視点も交えて書評を書いて行きます。

 

 

常識を覆しつつ、新たな時代を切り拓く、人体探究読本

帯にそう書いてありました。

人体の不思議に興味ある人、
ツボや経絡について多少の知識がある人にとったらこの本はなかなかに興味深い内容だと思います。

ただ、いろいろなジャンルの本を読んでいる身からすると構成に不満があります。
著者の想いが伝わったからこそ、そこを歯がゆく思ってしまいます。

もうちょっと一般の読者に読みやすい構成に出来たんじゃないかと。

 

この本を読んだ正直な感想は、
“スッキリしない”
です。

辛口に言えば、
で、結局何を伝えたいの?
という感じ。

 

情報量が多いですし、内容は深いです。
ある程度の知識のある鍼灸師が読めば学びは多くあるでしょう。
何より著者の考え方がしっかりと書いてありますので、
単にどのツボがどんな症状に効くのか書いてある本より勉強になります。

ただ、残念なのは、〆のところ

 

情報量が多く、いろいろな話を詰め込み過ぎたせいか、
最終的に何を伝えたいのかがぼやけてしまってます。

 

実際にはあとがきにそこのところは書いてあるんですが、
それを最終章にもっとスペースを割いて書くべきだったんじゃないかなと思います。
これは著者というより編集者の腕の問題かなと思います。

 

面白い本っていうのは、

小説にしろ、
ビシネス書にしろ、
医学の本にしろ、
起承転結がしっかりとしています。

別の言い方をすれば、ストーリーがしっかりとしています。

 

この本は、入りの掴みが刺激的でよかった分、
尻すぼみしてしまってとてももったいなく思います。

もう少し本のボリュームを増やして起承転結をはっきりと作るか、
内容を2つに分けて各章のトピックをもっと噛み砕いて書いた方が本としての魅力が増したんじゃないかと思います。

 

批判気味に書いているように思うかもしれませんが、
本の内容自体がとても良いからこそ勿体ないと感じてます。

 

また、科学的根拠の部分にもっと触れるべきだったんじゃないかなと思います。
個人的にそこに興味が1番あったので僕の願望になってしまうわけではありますが、
正直、物足りなかったです。

著者が医師とタッグを組んで研究をしているのを知っているので、
その研究の内容も多少出てくるのかなと思っていたので、
ほとんど出てこなくてちょっと残念です。その部分は今後の本に期待ですかね。

 

 

本の内容について

・ツボは“経絡の沿って”ある訳ではなかった⁉︎
・ツボで“体の動きの中心”が変わる⁉︎
・患部から離れたところに“ポイント”がある⁉︎

と帯でうたってます。

 

ツボが先か?経絡が先か?を本の中では問うている訳ですが、
論理的に考えればツボが先になるんじゃね?って一般の人は思うんじゃなかなと僕は考えてるんですが、鍼灸師じゃない方、いかがでしょう?

だって、川が自然に出来る流れを考えれば、
何もないところに雨が降って、水溜りが点々と出来て、水量が多くなった結果それらがくっついて結果、川となって流れて行くと考えるのが普通なんじゃないでしょうか?

 

それを鍼灸師はさも“経絡”が先で、あとで“経穴(ツボ)”を見つけたみたいに考えてるって書いてあって、もともと“ツボ”が先だと思ってた僕からすると問題提起がズレてないか?と思ってしまったわけですが、他の鍼灸師さんはどうなんでしょう?
(経絡が先だと考えてる鍼灸師さんの方が多いのかな?)

 

そもそも学校でツボが先か経穴が先かなんて習った記憶無いし。

まあ、個人的な疑問はこんなところで、本著の内容を少し紹介していきます。

 

僕自身はこの本からの気づきがたくさんありました。

・鎖骨があるから合谷がある
とか、
・経絡は未完であって、人体のつながりを説明する為に後ずけされた
とか、
・経絡はツボを分類するために創案されたもの
とか、
・経絡がデザインされた当時、鍼灸に求められていたことは「少しでも長く生きたい」だった
とか、
・経脈の本数は最初から12本だったのではなく、1年が12ヶ月という自然のサイクルに合わせて12本になった
とか、
・情報を結合する最小ユニットでありながらハブのような役割を担ってるのがツボ
なんて、いろいろと教科書には載ってないような内容盛りだくさんでした。

全部が正しいかはわかりませんが、
こういった視点で鍼灸について掘り下げて行くと新たな発見がありそうだなと思います。

 

 

この本が示すもの

“経絡理論を根底から覆すツボの考え方”
と、副題にあるように、この本が示すのは“考え方”です。

どこにアプローチすればどう身体が変わるのか。については深く書いてありません。
それを知りたい人は、整動鍼を学びに来てねということなんでしょう。

なので、この本の考え方に共感する人は、整動鍼を学びに行くと良いんじゃないかなと思います。

著者の栗原さんが教えている整動鍼は、
本著でも書いてるように、
高い効果、再現性、科学的根拠を軸に考えられていますので、
これから鍼治療が医療として発展して行くのに必要な点を抑えています。

 

個人的に注目している治療法ですし、
学んだことはないですけど、
この本の中に書いてある“張力”というキーワードをコンセプトにしているので、
理学療法士さんの筋膜理論(テンセグリティ)とも相性が良いんじゃないかなと思います。

活法を元に整動鍼は考案されたと書いてありますし、
今までの鍼灸理論が苦手としていた筋骨格系を上手く説明出来ているのだろうなって思います。(内容自体は知らないので予想ですが)

整動鍼については、ホームページを見てみると良いと思います↓
(僕は学んだことないので質問されてもわかりません)

整動鍼とは

 

期待していたからこそ残念に思うところ

 

・ツボについての機能的説明をもうすこし多角的に語っても良かったんじゃないでしょうか?

この本で説明出来ているのは、おそらく一部のツボについてだけです。
人体には500を超えるツボがあると言われていますが、
この本で挙げられている考え方だけでそれらすべてを説明するのは無理があると思います。

即効性のある特効穴についてはすごく良く説明出来てるので、
遅効性のあるツボの説明や考え方についてももっと書けたら良かったと思います。

 

・もっと自分の考えについて突っ込んで書いても良かったんじゃないかなと。

一つひとつの考え方についての説明が浅く感じました。
いろいろな情報、考え方を詰め込みたかったんだと思いますが、
多く入れ過ぎたせいか、一つひとつの説明が物足りないです。

具体例も少なかったですしね。

 

おそらく、各章はゼロから繋げて書いたわけではなく、
今まで書いてきた内容の寄せ集めだと思います。
だからか、章と章のつながりが薄く感じました。

 

せっかくの良いアイデアがぶつ切りに各章に載ってるだけで、
内容としての濃さは低いように感じます。

最後にもう一章、それまでの章全部で言いたかった根本的な内容を掘り下げて書いた方が締まりが良く、読んでいる方もすっきりしたと思います。

 

常識を覆すとうたうくらいなら、
大胆に自分の理論展開をもっと深くしていた方が良かったのかと思います。
論文じゃなくて本なので。

今後の本でそういったことを書くのかもしれませんが、
この本だけで判断するとなると物足りなさは拭えません。

期待していただけにその部分が残念でした。

 

 

この本を読んで改めて思ったこと

鍼灸理論、経絡について、ツボについては、
この本でも書いてあるようにまず間違いなく未完の理論です。

西洋医学は年々新しい発見がされてさまざまな理論が変わっているように、
東洋医学にもアップデートが必要だと感じます。

今の理論のままでは、説明がつかないこともあります。
伝統医学だからとか、数千年の歴史があるからと変えることを拒むのではなく、
最新の研究ではっきりとしたことを交えて新たなる理論の構築、
そして、言葉の改訂も必要だと思います。

 

三焦経とか胃経とか名前を変えた方が良いと個人的には思います。
他にも変えた方が良い東洋医学の言葉が多くあると思います。

その前にはっきりとさせないといけないことの方が東洋医学には多そうですが、
言語のアップデートが必要になって来ていると感じます。
まあ、これに関しては東洋医学が、ということだけではなく、
日本語自体にも言えることなんですけどね。

 

この「ツボがある本当の意味」という本を読んで改めて、
東洋医学にはアップデートが必要だと思いました。

臨床経験何十年でもうすぐ引退だという鍼灸師にはあまり必要のない本かもしれませんが、
これから何十年も現場で臨床を重ねていく鍼灸師や鍼灸学生さんにとっては気づきの多い本だと思います。

ひとつ言えるのは、
この本は一般向けという皮をかぶった鍼灸師向けの本です。

だって、この本は、鍼灸理論と解剖学とバイオメカニクスをある程度知ってる人じゃないとたぶん内容がよく分からないと思いますもん。

 

というわけで、
本書の一般人へのおすすめ度は、正直あまり高くないです。
もっと分かりやすい本を読んだ方が良いです。
これを読んでも“はり治療”はよく分からないと思います。

だけど、鍼灸理論をかじった人や鍼灸師さんにとっては学びの多い宝の山だと思います。

拒否反応を起こす人も多そうですけどねw

 

正直、僕も1回読んだだけで内容を深く落とし込めてないですし、
理解の深さも浅いです。
もう1−2回読まないと著者の栗原さんが伝えたいことを掴みきれないんだろうなという気がしてます。

だから、スッキリしてないっていう感想なんですよね。

僕の理解度が低いのが問題なんでしょうが、
書いてる内容がうまく伝わらないって、
本としては良くないですよね。

 

整動鍼をすでに学んでる人には簡単に納得出来る内容なのかもしれませんが、
それだと一般向けにはなり得ないですよ。

なので、諸手を挙げて最高の本だったとは言えません。

ということで、今回の本の評価は、星3.2/5ということで。

内容としては僕好みなので、今後の本に期待です。


ツボがある本当の意味 〜経絡理論を根底から覆すツボの考え方〜


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